頼山陽の長男・聿庵(いつあん)は,父山陽が脱藩騒動を起こし,母淳子が藩法によって離縁されたため,誕生後すぐに頼家に引き取られ,以後表向きには祖父春水・祖母梅颸の子として育てられました。
16歳で家督を相続してからは広島藩の学問所に出仕し,天保12年(1841)には奥詰となりますが,嘉永2年(1849),藩主浅野斉粛(なりたか)の前で執政首座・今中大学を罵倒したために蟄居謹慎となります。
以後,自ら「迀娯軒」(=動けん)と号し,隠居して家督を譲り,安政3年(1856),56歳で没しました。
聿庵は能書家として知られ,その書は父山陽以上とも評価されています。
特に晩年の作品は力強く奔放な書きぶりで,現代の前衛書に通じる趣があります。
本展では,聿庵晩年の作品を中心に,聿庵らしい雄勁奔放さが遺憾なく発揮された大字書・少数字書による作品を紹介していきます。
展示解説会:5月28日(土),6月11日(土),7月2日(土)
13時30分~14時30分
解説:頼山陽史跡資料館学芸員(通常の入館料が必要です)
※新型コロナウイルスの感染状況により,予定が変更になる場合があります。